出会ってしまった

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見間違いかどうか確かめるためにだ。 でも、好きなものに対して見逃すことなど一切しない自分の目が、見逃すはずもないということも理解していた。 ――間違いない 私は持っている新刊の表紙で不敵な笑みを浮かべる推しキャラを見て、目を奪われた棚の本の表紙を見る。 見比べて、改めて確信する。 推しキャラが、全く認知していない棚におられた あまり見かけない分厚い冊子を手に取った。 大体掌より一回りぐらい大きめぐらいの冊子は普通の漫画よりは小さく、少年なんたらの冊子よりは小さい、私があまり好んで買わない大きさの冊子だった。そして、そんな大きさにも関わらず、少年何たらよりやけに分厚い。というか、今まで見た漫画の中で一番分厚い。 けれど、その拍子にいらっしゃるのは、押しキャラの茶髪のイケメン君だ。 ――これも新刊かな 絵のタッチが違う気がする、という違和感はあったが、それはまごうことなく自身の推しキャラ。 新刊コーナー増えたのかな、と思い棚のそばにある案内版を見上げれば<特集コーナー>と書かれていた。 「特集?」 思わず声に出してしまったが、小さな声であったので周りで立ち読みしている人たちには気づかれなかったようだった。 ――というより、読んでいるのに夢中で気にしなかっただけかもしれないが。 視線を下げて私が手に取った冊子と並んでいるものを見ると、<嫁姑特集><家政婦はミタ!? 衝撃家族の実態!>などなど、ヒューマンドラマ的な、学生である私が絶対に手を出さないような、主婦層専用の特集ばかり。 ますます、なんでこんなところに? と首を捻る。 疑問は残るが、推しキャラが表紙の冊子を読まないという選択肢はない。 私は重みのある冊子を抱えながら周りを見渡した。 数人ほどの男女が、立ち読みという行為に没頭していた。 周りが皆立ち読みしているのならば、自分が立ち読みしても目立たないだろう 新刊とは違い、ナイロンで包まれていない、もうすでに何人かに読まれたような形跡のある膨張した冊子のページをめくった。
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