六月

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「リンドウ君お待ちしておりました、って、どうしたんですその姿」 「ああ、ちょっとね」 「お風呂入りましょうお風呂、服も洗わないと、ほらほら脱いでください今直ぐここで」 「おいお前あからさまに嬉しそうだな」 「いえ、サプライズのご褒美として一緒にお風呂くらいは入らせて頂いても、いえせめてここで服を全て脱いでくださっても」 「何を云ってるんだお前は、え、サプライズって、まさか」 「あ」 「あ、じゃねえよ、云ったらサプライズになんないだろうが」 何だよ、僕の誕生日知ってたのかよ、どこまで知ってんだ、と呟きながらジャージの上着のジッパーに手を掛けるリンドウ。と、その姿を期待を込めて注視している篁に気付き、ジッパーを再びきちんと最上の最上まで上げ、辺りが汚れるのも構わず脱衣場へ直行する。 「ま、待ってくださいリンドウ君」 「この辺掃除しといて」 「そ、そんな、でもそんな冷たいリンドウ君も」 「ステキ、とか云うんだろどうせ、分かったら掃除しといて」 脱衣場の扉をぴっちり締め、古びた簡易な錠まで下ろし、服もシャワーで粗方洗って洗濯機に入れようと決めて風呂場に閉じこもるリンドウ。篁はぽつねんと残され、寂し気に辺りの拭き掃除を始めた。
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