七月

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「ええ、ほんまそうです、ともかくもやね、安全にね?あ、それから今ね?この、キョウストリームさん?観てはる皆さんもやと思うんです、皆さんもね、こないなグッズは毎年新しいのん出ますし、ほんまにお勧めやわよ、なんて、私が宣伝してしもたりして、うふふ、レポーターさんも熱中症お気をつけて安全にしてもらわなやね、涼しそなね、こない粋な開襟着てはってね、ほな皆さんご苦労さんです」 「いえいえありがとうございます、奥さん、ええ、こちらの、たいへん対策意識のある奥さんにお話をお伺いしました、では他の方にもお訊きしてみましょうか、あ、真っ黒のスーツのお兄さんがおられます、非常に暑そうです、でも何かカラフルな物を抱えてらっしゃいますね、お仕事の前とかなんでしょうか、お兄さん?ちょっと良いですか」 画面には、篁。リンドウは、唖然とした。 「お兄さん失礼します、お仕事着ですか?スーツお暑いでしょう、それ何持ってらっしゃるんですか?」 「スーツは確かに暑いですが大丈夫ですよ、私地獄から仕事半分で来てますから、これは私の必殺技、氷嚢三つ巴」 「え、四国?四国からご出張ですか?四国も今暑いですもんねえ、氷嚢三つ巴とは何でしょう」 「八寒地獄から取り寄せたカチカチの氷柱を砕いた物を詰めた氷嚢です、レトロ雑貨店で若いお嬢さん方に紛れて買うのはやや恥ずかしかったんですが、それを先ず後ろ襟首に一つ挟んで、あと二つはこうして小脇に抱えて太い血管を主に冷やします」 「え、四国じゃなくて?バチカン市国?変わったご職業なんでしょうね、あ、でも氷嚢って今、一部では見直されてますよね、ええこちら、暑いお仕事着に負けないような大変エコな涼の取り方のお兄さんにお話を伺っております」
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