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ややあって、二人は連れ立って京阪線から乗り継いだ近鉄線に揺られていた。
「近鉄なんて滅多に乗らねえな、篁、切符それどこまで?」
「竹田です」
「え」
リンドウの脳裏に何かぼんやり過る物があった。
「城南宮は梅見の名所ですから」
「城南宮って、あの、南インターの近くのでっかいお宮だよなあ?うんん?」
「そうです、ほらもう次ですよ」
鄙びた駅舎から出た二人。駅前も閑散としており、リンドウはタクシー乗り場に一台もタクシーがいない事に気付いた。名所。名所?
「って、タクシーもバスも何もいないけど何で行くの?」
「歩けますよ」
「そうなんだ」
すたすた歩きだした長身の男に付いて歩き始めるリンドウ。ややあって南インターと云えば、なラブホテル街が出現した。
「ご休憩して行きます?」
「何云ってんだ烏帽子野郎」
「冗談です」
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