七月

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「バチカン市国ではなく八寒地獄です、職業は裁判関係の事務が主でして常時この服装ではないのですが、昨今はこのようなスーツで通勤しております、まあ氷嚢と云う物は仰る通りエコロジーと云う言葉にぴったりなアイテムだと思い、ちょっぴり可愛い柄を探してみました」 「お兄さんオシャレなんですねえ、ええ本当にエコで可愛らしい、そんな氷嚢、こちらのお兄さんは氷嚢三つ巴と技名までお付けになってきちんと太い血管を冷やすポイントを押さえてます、でもお兄さん?氷嚢でしたらある程度で溶けますし、その頃にはお勤めの裁判所に向かわれると云う事でしょうか?」 「いえ、私、中の氷柱と共に溶ける覚悟で、このまま山鉾を追って巡行ルートを必死で一周するつもりでおります、気合十分です、あ、長刀鉾来ますよ」 「え?あ、ああ、もう来ちゃいますね?あ、ありがとうございましたお兄さん、お気をつけて観覧なさって下さい、ええと、氷嚢だけで山鉾と、共に巡行って、まあその、あちらのお兄さん流のご冗談でしょうかね、ははは、ええ、では各山鉾の籤検めの場面と、別クルーと連動しての注連縄切、お送りして参りますので、そのまま是非ご覧下さいませ」
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