エピローグ

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「いや~、津和野から帰ってくると、萩も街に見えますね~」 と萩の人からも津和野の人からもぶっ飛ばされそうなことを呟いたとき、ちょうどあの弁当屋の前を通った。  犬を連れて話している見慣れた人影が見える。  ちょっと笑って夏巳は言った。 「怪盗Xたちが居ますよ。  お土産持っていきましょうか」  事務所の駐車場に車をとめ、祥華(さちか)たちに土産を渡しに行ったが、桂がわざわざ持ってきたこともあり、祥華たちは怒るどころか機嫌がよかった。 「今度は私たちも連れてってくださいねー」  などと言って手を振られる。 「送ろう」 と言う桂について行きかけたとき、寛太たちがやってくるのが見えた。 「ほう帰ってきたか。  暗くなる前に帰って来なかったら、津和野まで行かずとも殺人事件を起こしてやろうと思っていたところだった」 と寛太が言い、 「いやあ、先生。  大事件だったんですよ~」 と小笠原が笑って言う。  ……やっぱり萩に居た方が大事件に遭遇できてたようだな、と思いながらも、夏巳はあの呉服屋の水戸の話を思い出していた。  津和野にトラウマができてしまった……と思う夏巳の前で、 「送りますよ」 と桂が寛太たちに言った。
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