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未来からの苦言
私は懐かしい西湖大学の学舎に着くとこれから行う授業の内容をアレコレ練りながらいつもの定位置になりつつあるオープンスペースのプラスチック製の椅子に座ろうとした時、突然どこからか電話の受信音が鳴り響いた。
私は座ろうとした姿勢のまま、暫く空気椅子の様な格好をした後それが、あの時の黄色い公衆電話からである事を確認すると徐に立ち上がった。
ある意味、現在の成功はあの時のメッセージがキッカケといえなくもない。
もし同じ人であればお礼を言わなければならないと感じていた。
「はい、もしもし、山吹です」
『山吹、さんですか?』
声を、聞いてあの時の彼女だと確信した。
「そうです!山吹です、またかけてくれたんですね?ありがとう」
『え?また?何を言ってるんですか?』
ん?違う人なのか?声は全く同じなのに
それに、なんとなくではあるがこの前と違って友好的な感じではない気がするが、、。
『とにかく、あなたが山吹さんですね?驚かないで下さい。私は未来からあなたにこの電話をしてます』
「あ…はい」
『信じられないのも無理はありませんが本当の事です』
「え……ええ、そうでしょうね、信じます」
『どうしても、信じられないというなら……そうですね』
「いえ、だから信じます」
『へ?どうしてです?』
「いや、ナゼといわれても…」
『まぁいいわ。信じるなら話が早いです。山吹さん、私は未来の代表としてあなたに苦言を呈したいのです』
「……へ?」
『あなたの論文のせいで世界はめちゃくちゃです!』
「ちょ、ちょっと待って、僕のせい?いや僕のお陰で世界は理想的な方向に行くのでは?」
『は?何を言ってるんですか!』
「い、いえなんでも……なんとなくそうなる気がして」
私はこれから出す予定の論文は例の感情ニュートリノ振動仮説の筈だ。
そこは変わらない筈なのに
なぜ未来が変わった?
『何をわけのわからないことを』
「あの…ミクさんですよね?」
『!……なぜ私な名前を知ってるのです?』
相手の声色からかなり動揺しているのが読み取れた。
「あの、落ち着いて聞いて下さいね。貴方がこちらに電話をしてきたのは…二回目です」
『……うそ』
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