サイコパス診断からの応用仮説

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私はその後飛ぶ鳥を落とす勢いで世間の注目を浴びる様になり、なんどもコメンテーターとしてテレビに出演した。 大金を手にしたが暴飲暴食をして身体を壊さない様に食べ物は全てオーガニックにして、適度な運動を心がけながら、南の島で美しい風景に囲まれながら暮らした。 そして、ふと思った。 南の島で美しい風景に囲まれながら自然食を適度に食べるのが今の経済的成功者が手に入る最高の環境だとしたら……それは、お金が発明されるずっと前に人類が手に入れていたものではなかろうか? もしかすると人類はとんでもない遠回りをお金という稀有の大発明と共に繰り広げて来たのでは? そんな新しい仮説が頭をよぎったが、直ぐに(かぶり)を振って考えるのをやめた。 それよりも、また西湖大学で講演を依頼されている事を思い出したからだ。 別に経済的には行く必要もないのだが、恩義があるので行かない訳にはいかず、何を話すかを練って置かなくてならない。 そう考えて西湖大学の事を思い出すと、どうしてもあの時の、黄色い公衆電話を思い出さざる負えない。 アレからなんども通りかかる度に呼び出し音が鳴るのではないかと緊張したのだが、あれ以来全く鳴ることはなかった。 男の人生を変えたと言える電話は沈黙を守っていた。
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