ひーからばんばん

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ひーからばんばん

夏があった、遠い過ぎ去った夏だ。暑くもあり寒くもあり、長袖だと暖かい。そんな秋が来た、栗を甘く煮た菓子、絵画に触れる、誰かも分からぬ画家の個展にたどり着いた。 美しい絵画たち、立体的なアート、新人の画家という若々しさと、幅広い一面に驚いた。それに刺激を受け、久しぶりに絵を描いてみようと思わされる。 月が過ぎた、キャンパス四枚分の絵が完成した。この絵は四枚の絵をどう組み合わせても絵画になる、5年前に筆を絶って、それ以来描かず、温め続けた一作だ、これが私にとって人生最大の傑作でもある。10冊のクロッキー帳、それがまるで陳腐に見え、焚き火で芋を焼くために利用しようかと思った。それから一年が過ぎ、私は新しいクロッキー帳を消費し続けている、いつまでアイデアが湧き続けるのだろう。いつもスランプに怯え、あの傑作を批判された6年前に怯え、それでも描き続けている。私は絵画が好きなのかもしれない。
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