序章 暗殺者の日常

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 二人が出会ったのは今から、数日ほど前になる。  オーダーがなくいつものように起きてリビングに向かったキリヤは、突然のチャイムに警戒した。刀を一本持って、玄関へいくと、一人の少女が姿を見せた。 「誰だ?」  フリル満点でかつ、真っ白なワンピースと赤いヒールを、じろじろ見ながら聞いた。 「あれ? 連絡いきませんでしたか? 今日からお世話になる美乃華です」  少女は小首をかしげながらも、名乗った。背後にはひとつのキャリーバッグ――こちらも白があった。  ――は?  内心でそう思ったものの、ポケットからスマートフォンを取り出してメールを確認する。その指は節くれだっていて長い。 【新しい殺し屋をそっちにやる。武術はいいから面倒見てやれ】  そう、メールが届いていた。  ――武術の面倒なんて、一度も見たことないぞ。  そう思いながらも、立ち話もなんなので、リビングに上げる。 「元は廃工場ですよね、ここ。でも生活空間と生活臭がする。ここにいて長いんですか?」 「まあな。ま、座れよ」  キリヤが座ると、そう言った。 「ありがとうございます。あなた、お名前は?」 「キリヤ。コードネームじゃねぇぞ。本名だ」  そっけなく告げると、美乃華が苦笑する。 「歳は? 見た感じ若そうだが。使用武器は?」  キリヤが続けて質問をすると、美乃華は笑って答えた。 「十八です。武器はこれです」  キャリーバッグの中から武器を取り出し、テーブルに置いた。 「リヴォルバーか。それもダブルアクション式の」  キリヤは断りもせずに片方の銀色のリヴォルバーを手に取ると、弾が入っていないことを確認し、空撃ちをした。 「はい」 「ずいぶん年季が入っているようだが」 「古いものなので。あなたの武器は?」  キリヤは手にしていた黒の日本刀を見せる。柄や鞘だけでなく、刀身までもが黒だった。 「ここに、もう一本ある」  ソファに無造作に置かれていたもう一対を引き寄せて、美乃華に見せた。
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