143人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
二人が出会ったのは今から、数日ほど前になる。
オーダーがなくいつものように起きてリビングに向かったキリヤは、突然のチャイムに警戒した。刀を一本持って、玄関へいくと、一人の少女が姿を見せた。
「誰だ?」
フリル満点でかつ、真っ白なワンピースと赤いヒールを、じろじろ見ながら聞いた。
「あれ? 連絡いきませんでしたか? 今日からお世話になる美乃華です」
少女は小首をかしげながらも、名乗った。背後にはひとつのキャリーバッグ――こちらも白があった。
――は?
内心でそう思ったものの、ポケットからスマートフォンを取り出してメールを確認する。その指は節くれだっていて長い。
【新しい殺し屋をそっちにやる。武術はいいから面倒見てやれ】
そう、メールが届いていた。
――武術の面倒なんて、一度も見たことないぞ。
そう思いながらも、立ち話もなんなので、リビングに上げる。
「元は廃工場ですよね、ここ。でも生活空間と生活臭がする。ここにいて長いんですか?」
「まあな。ま、座れよ」
キリヤが座ると、そう言った。
「ありがとうございます。あなた、お名前は?」
「キリヤ。コードネームじゃねぇぞ。本名だ」
そっけなく告げると、美乃華が苦笑する。
「歳は? 見た感じ若そうだが。使用武器は?」
キリヤが続けて質問をすると、美乃華は笑って答えた。
「十八です。武器はこれです」
キャリーバッグの中から武器を取り出し、テーブルに置いた。
「リヴォルバーか。それもダブルアクション式の」
キリヤは断りもせずに片方の銀色のリヴォルバーを手に取ると、弾が入っていないことを確認し、空撃ちをした。
「はい」
「ずいぶん年季が入っているようだが」
「古いものなので。あなたの武器は?」
キリヤは手にしていた黒の日本刀を見せる。柄や鞘だけでなく、刀身までもが黒だった。
「ここに、もう一本ある」
ソファに無造作に置かれていたもう一対を引き寄せて、美乃華に見せた。
最初のコメントを投稿しよう!