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女の名前は神前紗夜、今夜の俺のクライアントだ。
「……で、神前さん、その少女にはまったく見覚えがないのですね?」
俺はできる限り誠実そうな表情をとりつくろって、自分が信頼に足る人物であることを彼女に訴求した。
「……はい。まったく見覚えがないのです。少なくとも私の記憶のなかには彼女に関するデータはありません。……でもなんだか、とっても寂しそうで。……そして……なぜか……とても気になるのです。そうですね…彼女の瞳をチラリとでも見ようものなら、彼女の深い悲しみに引きずり込まれそうになります。ちょっと……というか、はい、かなり危険な瞳をもった少女なのです……」
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