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「印象的な彼女のあの紅いドレス……。夢の中で何度も何度も見ています。ドレスの下には真珠のような真っ白なレースのブラウス・シャツ、白いハイソックスにかわいい真っ赤なスウェードの靴……。間違いありません。見間違えようがないのです」  神前は訴えかけるように私の方へと身を乗り出す。 「ああ、もちろんです。真紅のドレスを着て夜遅い時間に電車に乗っている一人の少女……。たしかに普段、あまり見かけない光景です。とはいえ、可能性という意味では、夢うつつの状態である種の心のイメージが表出してきて、心のスクリーンに映った……なんてことも考えられなくはないわけで……」
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