魂やどる戦士は

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 SNSの書き込みは多いが鮫島が思った通りのコメントばかりが上がっていた。真っ黒なチラシに血文字のような店名が書かれている写真を投稿し、いかにもな話を作っているコメントがちらほらと上げられているが、真偽のほどはわからず仕舞いだ。 【手作りチラシはわかるけど、間抜けすぎWWW】 【店主さん見てますかぁーお店の住所も電話番号もなしじゃ古い人形売れないんですけど】 【このチラシを受け取った人に数日後怪奇現象に襲われる説】 【チラシが入っているのは子持ち家庭が多いって噂で聞いたんだけど、人形だからかな?】  このコメントにハッシュタグ付きで上げることにした。何人もの人物があったと書き込むだろう。取材を経験したい者、目立ちたがりの人物など、その中で本当に体験したことをコメントに書いてくれる人は指折り数えるほどだと思う馬鹿馬鹿しいと誰一人として書いてもらえないこともある。だが、鮫島は尋ねなければいけない。仕事としてそして、実際に手元に届いた一人として。 【月刊雑誌編集部のSと申します。私の家庭にもこのチラシが入っていました】  カシャカシャ・・・  何枚か写真を撮り写真写りがいい一枚を添付し文章を打ち続ける。 【実体験をされた方に取材をしたいと考えております。取材対象者の個人情報は守ります。匿名でも構いません。下記のアドレスまでご連絡ください】  パソコンのアドレスとSNSのアドレスを記載し文章の末尾に月刊ミュータントと書き込み投稿する。期待はしていなかった。フェイクニュースと真実が入り交じる昨今の投稿事情は知っている。事実別の取材で何人かと対談をしてみたが、物珍しさから書き込んだだけだったり、取材費目当てで嘘を平気で話し続ける人物を幾度となく目にしてきた。  だから鮫島は驚きを露わにしていたのだ。投稿から四時間後に片手にチラシを持ってビルを訪れた女性に。
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