着せ替え人形に憧れて

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 カツカツと厚底パンプスを館内に鳴り響かせる。メイの顔はまだ暗い。肩で様子を伺っているカラスが小声で訊ねてみる。 「新たな魂と器が手に入るチャンスだったのに、どうしてルールを破ることしたんだかぁぁ?」 「私の力ではどうすることも出来ない。母娘の絆に負けただけよ」  それにしてもとカラスは館内を見渡す。毎夜毎夜チラシを手作りしては人形を持っていそうな家庭の郵便受けに入れている。だが、店に来店してきた客をカラスは一度も見ていない。カラス自身手伝いをしていて気付いていた。  メイはお店の住所も電話も書かないことに、カラスはまだ聞けずにいる。 「ふふ・・・人間が入れる場所じゃないもの。特異体質の人ならわかるかもだけれど」  ビクッとし羽をばたつかせる。メイは心を読める力を持っているのだということを忘れていた。  怪奇人形店は此岸(しがん)彼岸(ひがん)の狭間に建っている家なのだから。
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