恋に恋して

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発達した医療技術は、奇跡の様にその命を繋ぎ止めていてくれたのに。 僅かな希望の糸を繋げ、生き永らえて来た命はあまりにも無垢で、つい穢れを知らぬ心持つ君にと思ってしまう。 恋に恋して。 僕と言うエナジー・ヴァンパイアの餌食となった可愛い人よ。 夢の中で誘ったね。 君が病院から抜け出せる様に仕向けて。 何時もベッドの上にしか居られなくて、誰かとの恋なんて不可能だと思っていた君。 管理の行き届いた、白い消毒薬の匂いが満ちる部屋。 決められた時間に行われる診察と、限られた面会の時間。 死と隣り合わせの癖に、果てしなく続く退屈はしのぎ難く、自由なのは心だけだったね。 僅かな同年代の知人が持ち込むお話と、ふんだんに溢れる恋物語の書物に憧れて。 白い檻から出たいと願うお姫様は、僕が見せる夜毎の夢に囚われた。 本当の恋を知る前に、素敵な夢を見せた僕へ。 夢魔の如く君の夢に忍び込み、夢物語を実現させるべく数多の障害を巧みに取り除き、君をここへと導いた僕。誰かの落とした紙幣を君に拾わせて、無粋な監視カメラの死角を教え。貴重な友達の口からこの橋の場所と行き方を語らせて。
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