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席替え
席替えは嫌いだ。
なぜかって、今まで仲良かった人と席が離れてしまうし、新しく隣になった人と一から関係を築いていかなくてはならない。
そう、私のような表情が乏しく、
自己表現すなわちコミュニケーションが下手ならばなおさらだ。
そして、今日はその席替えの日である。
私、宮本 日和(みやもと ひより)が高校へ入学してから2ヶ月。
最初に近くになった女子、咲良ちゃんこと
村山咲良(むらやま さら)はコミュニケーション能力が高く、席も近かったため、すぐに仲良くなれたが、次もそうとは限らない。
新しい友達を作るため、クラスの親睦を深めるため、席替えをするのだろうが、現状の変化を快く思えないところが、私の短所である。
しかし、ぐだぐた頭のなかで良いわけを続けていても、時は無情にも流れ続けていたようだ。もう私の順番が回ってきてしまった。
そっと手を箱の中にいれ、カサカサと音を立てつつ、『これだ!』と思った紙を一枚引く
番号と黒板の座席にかかれた番号を照らし合わせると、窓際の前から3番目の席だった。
『当たりだ!』
一瞬そう思うが、実際にそこに目をやると、私の席の隣には、もう移動が終わったらしい窓の外を眺めている男子が目に入った。
少し前の自分の考えを否定する。
この席替え
「ハズレだ…」
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