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家に帰ったとき、私の家族は泣いていた。
おじいちゃんや、おばあちゃんまでもが私の家にいて、何人かの刑事さん、私がさらわれた場面を唯一目撃した龍くんと、龍くんのお母さん、お父さんまでもがいた。
「大きな羽根の男だった! きっと悪魔かなんかだよっ!」
という龍くんの主張は、大人たちには信じてもらえなかったらしい。そんな大人たちは、みんなが私のことを心配そうな表情で見て、同じことを聞いてきた。
「どこにいたの? 誰といたの? 怖い目に合わなかった?」
そう聞かれても、私はこのことを人に話す気になれなかった。
「……あまり覚えていなくて、気が付いたらここに戻っていました。」
うそをついたことに、ツキリと胸が痛んだ。
けれど今、わたしには、うそをつくことがどうしても必要だと思ったのだ。そうこたえた私を、龍くんは泣きながらにらむようにして見ていた。
なんでも彼は、ずっと自分を責めて泣いていたのだと言う。
「悪いことじゃなかったし、何も気にしないで。ただ……もうダンゴムシ、見せてこないでね。」
私がそう伝えると、龍くんは一度うなずいた。
そして、こう聞いてきた。
「あの男の人、誰?」
そう聞かれた私は、龍くんに近づいた。
そして大人たちに聞かれないように、小さな声で答えた。
「内緒……でも、一生懸命探してくれて、ありがとう、ごめんね。」
私がそう言うと、龍くんはまだ、何か聞きたそうにしていたが、それ以上のことは聞いてこなかった。
心配をかけた皆や、龍くんには悪いけれど、このことは私と流星さんの二人だけの約束だ。私は誰にも、話すつもりは少しもない――これからも、ずっと。
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