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「レオン、この国はどうやら負けたみたいだ」
沈黙はラルフの一言で破られた。
レオンはきょとんと目を見開き、驚いた表情でラルフを見つめる。
「マジかよ、それ。俺らシュヴァルツ王国は強国だったじゃねえか。そんでも、最先端技術を持つノールオリゾン国には負けるのかよ?」
シュヴァルツ王国は長年、騎士の国で名が高く有名だった。
そのシュヴァルツ王国が、ノールオリゾン国に降伏したという。
この国一番の鍛冶屋の息子であるレオンは、呑気に武器を打っているが、そんなことをしている場合ではない。この国は滅びるのだ。
「その件に関してだが、ある噂を聞いた。替え玉のロボット、あれをどうやらアレックが準備しているようだ」
「ぶはっ、アレックが? あの馬鹿が?」
と、笑い話にしたものの、レオンは何か腑に落ちない点がある。
この国にロボットという高度な技術を持った技師がいるなんて――確か、あれはノールオリゾン国の技術だったはず。
「二人とも、聞こえてるよ。大声で喋りすぎだよ」
そこに噂の人・アレックがやって来る。ラルフとレオンの二人は言葉を濁し、その場をやり過ごした。
「ねえ、ニコラ君? やっぱりさ、幾らロボットと言ったって、情が移るもんだよね?」
「アレック、良いのか?」
「セレナちゃん、彼女を救うよ」
アレックとニコラは動き出す。反逆の歯車は回り始める。
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