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黒い鳥がさえずり、白い鳥が奇声を放つ。
「イオンさん、ちょっとええ?」
シュヴァルツ三大貴族グローヴァー家に仕えるイオンに声をかけたのは、ツツジの里の少女ーー七瀬だった。
イオンは首を傾げ、七瀬から話を聞く。
イオンは真剣に聞いていたが、とある単語が七瀬の口から露わになると、顔を強張らせる。
「王国復興の為や。イオンさん、一役買ってくれん? あんたの協力が必要や、グローヴァー家領主を暗殺するには」
「七瀬さん、タダでは出来ませんよ。タダでは」
「あんたも、現金な奴やなあ。まあ、ええ。金ならぎょうさんあるで、これでどうや?」
そう言い、七瀬は小さな袋をイオンに手渡した。
「これだけのお金の出所が知りたいですね。まあ、良いでしょう」
「イオンさん、おおきに」
これで、契約は結ばれた。あとは、親ノールオリゾン国側の領主を殺せば、親ノールオリゾン側も黙ってられないだろう。
「ダニエル様、あんたも悪い奴やなあ。人殺しするんやもん、それなりの対価払わんとなあ」
「世の中、綺麗事じゃやってけない。僕には、シュヴァルツ王国復興を果たさないといけないんだ」
そろそろ、グローヴァー家第一子息とソレイユ第一令嬢の婚約は行われる。グローヴァー家領主の命のタイムリミットは来るだろう。
上手く、上手く行けばいい。
シュヴァルツ王国復興の道筋は、始まったばかりだ。
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