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季節彩る村――リーフィ村。
その場所は、天使教の総本山で、教皇であるセラビムや、司祭のリリィが住んでいる。
「フーくん、フーくん! ここには沢山のお花さんがあるね。お城では見たこと無いものがあるね!」
「エレン、良いか……はっ、失礼しました。エレン姫様、あまり、騒がれませんように。我々は逃亡の身ですよ。ですよね、兄上!」
「ええ、その通りです。フェイ、エレン姫様、今から住まわれる家はとても貧祖ですが、我慢なさって下さいね」
「うん、分かってるよ! あ、蝶々さんだ!」
こんなんで大丈夫なのだろうか。再起など出来るだろうか。
フェイは不安に感じるが、それを支えるのは自分自身である。
「ところで、兄上。目に隈が出来てますよ。あまり眠れなかったのですか?」
フェイは兄――ウィルに尋ねる。すると、ウィルは気にするなと一言告げた。
「あ、いらっしゃいました。あれは、ツツジの里の者ですね。エレン姫様、フェイ、気を付けて下さい。彼女達は敵です」
そう、ツツジの里は敵だ。
ツツジの里の長である玲は、ノールオリゾン国派に変わり、今ではシュヴァルツ王国の領地だけでなく、他国侵攻に携わっている――裏切りの民達だ。
「エレン姫様、いらっしゃいませ。ボクはミツル・カヅキ、こちらは姉の柚です。ボク達、ツツジの里を追い出されてしまって……なので、ここで暮らしているんです。ね、姉さん!」
「ああ。エレン姫、これからよろしく。いつでも頼ってくれよな!」
「もう、姉さん、無礼にも程があるよ! すみません、がさつな上礼儀が出来てない姉で……」
これではどちらが姉か弟か分からない。
しかし、彼らは何故、ツツジの里を追い出されてしまったのだろうか――疑問が残るも、フェイはエレンを呼び、さっさと住処の中へ入っていった。
「はあ、どうしようなあ。これから……」
リーフィ村の丘の上、柚は寝転びながら色々考えた。とても、他人の耳には入れたくない事ばかり考えてしまう。
「どうしたんですか、柚さん?」
「あ、エレン……あ、悪い、エレン姫様……!」
「悩みならいつでも聞きますよ?」
「いえ、エレン姫様のお耳に入れるような事では……あの、俺、ツツジの里を追い出されたんです。自分の親が、ツツジの掟に背いたので」
はあ、と柚はため息を吐く。もともと、長の玲とは仲は悪かったが、まさか掟に背いただけで親は殺され、追い出される事になるとは思いもしなかった。
その事を、柚はエレンに吐露した。
エレンは真剣に話を聞いていて、時たま一緒に悩んでいた。
「私に言えることはないのですが、どうか気を強く持って下さいね。きっと和解出来ますよ!」
「おい、エレン。どこにいると思ったら、そんな所に……全く、不用心だな」
「だいじょーぶだよ、フーくん。柚さん、良い人だよ!」
キラキラな笑顔で、エレンはフェイに笑って見せた。
その様子が、柚はとても、とても羨ましかった。
「それじゃ、柚さん。またね!」
「ああ、また会おうな!」
そう言い、エレンはフェイに付いて行く。その様子を柚は心苦しく眺めていた。
それは、ツツジの里を追い出される前の話。
柚そしてミツルは、玲に呼び出されていた。
「柚、ミツル、どうやらお前達のこれから暮らす先に、エレン姫が逃亡したという話だ」
「玲様、まさか、それって……」
「ああ。エレン姫の息の根を止める。そしたら、お前達を里に帰らせてやろう。これは命令だ、柚、ミツル。さあ行くのだ!」
それを思い出すと、柚は葛藤せずにはいられない。
あんな素敵な人を殺すことなんて、殺すことなんて――
「俺は、どうすれば良いんだよ……!」
悲観する柚の言葉に、ミツルはただ口を紡ぎ、心の中で苦しみにもがいた。
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