ring.2

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詰め寄ってくるから、ついその距離を縮めてしまって。 やっちゃったものは仕方ない。 「店の中で大声出したら迷惑だろ」 「向坂がっ!するからいけないんでしょ…」 顔を覆い、座り込みながら尻すぼみに言葉を発する。 そりゃ、人目も気にせずしてしまったけど、その反応は予想外なんですが。 ギャップありすぎじゃね? 恥ずかしいのかなんなのかわからない行動に、小さく独占欲が芽生える。 「いーちーか?」 「──名前!呼ばないで!」 大声ではないけれど、それでも叫ぶ三木を見てなぜか笑顔になる自分がいて。 こんな三木を会社の誰も知らないのだと思うと、なんだか嬉しくなる。 「これから名前で呼ぶから」 「え、何?それはあたしに対するイヤガラセ?死刑宣告?」 早くもいつもの三木に戻って、よくわからない二択を聞いてきた。 「死刑って、名前呼ばれるのそんなにイヤなこと?」 首を傾げて聞けば、すっごい何度も首を縦に振る。 そうか? 全然わからんな、三木一楓という人間が。 「…何やってんの?」 眉を寄せて悩んでいると、聞き慣れた声が背後、というより斜め後ろから聞こえる。 「真殿先輩こそ、ここで何を?」 「俺は夕飯がてら彼女に会いに」
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