ring.2

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不思議そうな顔を向けてくるのは、会社で俺の直属の先輩で。 俺と三木を交互に見て首を傾げている。 「真殿先輩、お疲れ様です」 「あぁ、お疲れ。ん?二人って仲良かったっけ?」 「ちょっと、そんなこと聞いちゃダメでしょ」 そういえば、先輩は俺達が同期って知らないのか。 そしてなぜ、ウェイトレスの方に突っ込まれる? 「桜花、コイツら後輩なんだけどな?見たことないツーショットだったから気になって」 あ、俺の彼女、とかってつけたすように紹介されるけど、先輩の彼女だと聞いてなんと言えば? 「察しなさいよ、デートでしょ」 「え、ちが…」 「そうなんです、因みに先輩、俺ら同期なんすよ」 否定しようと三木が声を出そうとするから、さえぎって笑顔で彼女さんの言葉を肯定する。 テーブルの下、おもいっきり足を…向こう脛を蹴られた。 「いっ──!」 声にならない悲鳴ってこんななのかとか、どこか冷静な部分もあるけど。 涙目で三木を見れば、ん?めっちゃ怒ってる? 「帰る」 一言そうこぼして先輩に頭を下げると、俺を見ないままにその場をあとにした。 「…いいのか?」 「や、今日はなんかソッとしとくっす」 追いかけたいのは山々だけど、蹴られたところがめちゃくちゃ痛くて立ち上がれない。 またまた初めて見た今度は怒ってる顔に、これからどんな表情をしてくれるのか楽しみになってきた。 痛いけど、一人笑ってる俺を先輩と彼女さんはちょっと引いて見ていたことなんか気にしない。
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