ring.3

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あの日、店に置き去りにした向坂から、五分後に連絡があった。 とにかく、彼女だということを忘れるなよ、という念押しの連絡。 それが月曜日のこと。 やっと週末になって、やっと…やっと解放される。 「ホラ、あのヒトがそうよ」 聞こえるように話をする、他部署のキレーなヒト。 今、休憩時間なのかしらね? どっかの誰かさんのせいで、浴びたくもない注目を浴びるようになった。 パソコンを見つめながら、小さく音にならないため息を一つ。 そんな視線をさえぎるようにドカッと音を立て、隣に誰かが座りめちゃくちゃ盛大なため息。 っても、隣に座るの一人しかいないんだけど。 「ここは動物園か水族館か何か?」 「ここは人間の会社の経理部よ」 変な質問、まぁ、わからないでもないけど、その檻の中にいるのあたしですから。 しかも、あなたもある意味そんな感じよ? 「あー、鬱陶しい」 「千雪ちゃん、心の声」 ダダ漏れだよ、後輩。 本人はキレイだとかカワイイとか言われることがキライらしく、その顔に似合わずすごく口が悪いのだけれど。 隠れファンはあたしの席の前にもいたりする。 「先輩、私の今までの視線、どんなのかわかりました?」 「あなたとあたしに対する視線の意味は全然違うと思うけど」
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