ring.3

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入社当初からすごくモテてて、ここまでモテるのを見たのは人生で二度目。 一度目は自分が入社してすぐ。 現在、不本意ながらも彼氏の向坂だ。 「視線だけで意味合いまでわかるのって先輩だけだと思います」 「そう?」 「そうですよ、全部同じにしか思えません」 結構違うと思うんだけど。 千雪ちゃんに対するのは、好機を逃すまいという視線と誹謗の目。 「それにしても、あんなヤツのどこがよかったんですか?」 「イヤ、一応、先輩だよ?」 「そうですけど、そうなんですけど」 同族嫌悪というやつなのか、どうしても向坂を毛嫌いしている。 「向坂のよさ、ねぇ…」 考え込まなければいけないほど、そんなところ思いつかない。 だって、今まで接点なんかなかった。 ただの同期で、別にこの先にもお近づきになりたいとか、一回も思ったことがなくて。 たぶん、ここ最近は存在すら忘れていたかもしれない。 「それは俺も聞きたいな」 パソコンから目線を外さないまま悩んでいると、頭上から声が聞こえる。 隣からは、ゲッという声。 振り向かなくても、千雪ちゃんの表情を見なくても、後ろに誰がいるのかはわかる。 「仕事は」 「領収書持ってきただけでソレ聞かれる?」
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