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いつもは持ってこないくせに。
「あたしはあなたの担当ではありません」
「それはわかってるよ、顔見に来ただけ」
イヤ、仕事中でしょ。
そんなこと笑顔で言われても、なんとも思ってないから嬉しいとか思わない。
それよりも早く仕事に戻れと思う。
「無言で睨むのやめようか?」
にっこりと笑って、ムニっという効果音でもつきそうな感じでほっぺをつまんでくる。
痛くはないけど、まだいたらしい他部署のヒトが悲鳴を上げた。
え、今ので?
モテる男のすることはよくわからない。
けど、これは小さい子にするヤツだと思うんだけど。
「向坂先輩、仕事の邪魔なのであのヒト達引き連れて出てってください」
「邪魔って…千雪ちゃん、そこまで言う?」
「名前、呼ばないでもらえます?」
怒ってる笑顔がキレイすぎて、さすがにあたしもそれは怖いよ。
だからって、向坂にフォローを入れるつもりもない。
「ハイハイ、おとなしく仕事に戻りますよ。あ、今日いつものとこな?」
あたしの髪をなぜかクシャっとして、にこやかな笑顔で他部署のヒトをホントに引き連れて行く。
乱れた。
まぁ、別に手櫛で直るんだけど。
「今日会うんですか?」
「…そうらしいね?」
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