ring.3

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いつもは持ってこないくせに。 「あたしはあなたの担当ではありません」 「それはわかってるよ、顔見に来ただけ」 イヤ、仕事中でしょ。 そんなこと笑顔で言われても、なんとも思ってないから嬉しいとか思わない。 それよりも早く仕事に戻れと思う。 「無言で睨むのやめようか?」 にっこりと笑って、ムニっという効果音でもつきそうな感じでほっぺをつまんでくる。 痛くはないけど、まだいたらしい他部署のヒトが悲鳴を上げた。 え、今ので? モテる男のすることはよくわからない。 けど、これは小さい子にするヤツだと思うんだけど。 「向坂先輩、仕事の邪魔なのであのヒト達引き連れて出てってください」 「邪魔って…千雪ちゃん、そこまで言う?」 「名前、呼ばないでもらえます?」 怒ってる笑顔がキレイすぎて、さすがにあたしもそれは怖いよ。 だからって、向坂にフォローを入れるつもりもない。 「ハイハイ、おとなしく仕事に戻りますよ。あ、今日いつものとこな?」 あたしの髪をなぜかクシャっとして、にこやかな笑顔で他部署のヒトをホントに引き連れて行く。 乱れた。 まぁ、別に手櫛で直るんだけど。 「今日会うんですか?」 「…そうらしいね?」
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