ring.3

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ん?どこで? いつものとこってどこだろ? 悩んでいると、前の席から視線を感じた。 そちらを見れば目を逸らされるけど。 騒がしかったかしら? でもそうね、先週までは静かだったのに、その日常がヤツのせいで壊されたようなもの。 そりゃ、周りのヒトも迷惑よね。 そんなことを考えながら仕事をしていると、いつの間にか終業時間になってた。 「お先に失礼します」 こんな時に限って、仕事はきっちり終わるし。 まだ終わらないらしい千雪ちゃんを残して出るのは忍びないけど。 会社の前、向坂の言っていた場所がわからなくて首を傾げる。 月曜に行ったカフェ以外思い浮かばない。 そこから今日まで、仕事終わって会うこともなかったもの。 …あぁ、そのカフェのことを言ってたのか。 それならそうと言ってくれればよかったのに。 一つスッキリして重たい足を動かそうとする。 なのに、進もうとしたら腕を掴まれた。 こんなことをするのは一人しかいないと振り向けば… 「…え、小川さん?」 そこにいたのは向坂ではなくて、自分の前の席の先輩で。 えっと、あたしはなんで小川さんに腕を掴まれているんだろう? 「なんで…なんでアイツなんだ」
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