ring.3

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「あの…」 え?なぜ? 千雪ちゃんの隠れファンのはずなのに。 「コイツ、俺のなんで触らないでもらえます?」 わけがわからず困惑していると、後ろから抱きしめられ掴まれていた腕が解放される。 ここで向坂のじゃないって言うことは間違いなんだろう。 おとなしく抱かれたままでいれば、何か言おうとして、でもやめる小川さん。 「先輩!」 「ぅおっ!」 勢いよく抱きついてくるのは、言わずとしれた千雪ちゃんで。 仕事終わったんだとか、頭のどこか冷静なところでそんなことを考えている。 後ろで痛そうな悲鳴が聞こえたけど、今のこの状況を誰か説明してくれないかな。 「一楓先輩に近づかないでください!」 「それは仕事上、ムリでは?」 小川さんに噛みついている千雪ちゃんに、何も考えずつっこんでしまう。 「──っ仕事!以外で近づかないで!」 「ちょっと、千雪ちゃん、落ちつこうか」 「名前呼ばないでください!」 忙しいなぁ、千雪ちゃん。 たぶん、あたしを中心として何かなってる状況なんだろうけど、本人めちゃくちゃ蚊帳の外、なんですけど。 「とりあえず、一楓と千雪ちゃんはカフェ行ってて」 なんだか体よくあしらわれた? ずっとわけがわからないまま、向坂の言った通りにカフェへ向かった。 敵意剥き出しの千雪ちゃんを連れて。
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