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もっとちゃんと釘を刺したかったんだけどな。
ホントの彼氏でもないし、アレ以上言葉が出なかったんだけど。
その姿が見えなくなって、俺も二人のいるだろうカフェに向かう。
…三木にあのことを言うのは気が引けるけどな。
数分でついたそこには、めちゃくちゃ笑顔の千雪ちゃんと、やっぱり無表情の三木がいて。
いつも通りの光景にどこかホッとした。
「早かったんですね」
「千雪ちゃんならわかるだろ、あのヒトがどんな性格か」
三木の隣に座れば、眉を寄せて見てくる。
イヤ、一応彼氏なんだから普通に座るだろ。
それに向かい合わせに二人が座ってて、俺が千雪ちゃんの隣に座るのはさすがにおかしい。
「まぁ、そうですね」
「なんの話?」
納得する千雪ちゃんの言葉を聞いて、三木はわからないと首を傾げる。
「…前にストーカーの話しただろ?」
知ってほしくなかった。
できれば一生知らないままでよかったのに。
「した、けど…え?あれって、向坂の話じゃないの?」
少し言っただけで察したようで、ちょっと顔色が悪くなる。
「ストーカーっていうのは言い過ぎだと思うけど、結構三木の周りをうろちょろしてた」
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