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「──っちょっ!向坂!」
気づいたら三木の顔が目の前。
どうやら無意識にキスしたらしい。
「今は俺の彼女、だろ?」
「そうかもしんないけど、それとこれは別じゃない?」
近い距離のままでいると、不貞腐れた顔をする。
仕事中は何があろうと表情が動かないのに、そこから離れてしまうと少しだけど豊かになるなんて。
そんなの反則じゃね?
「コレがある限り一楓は俺が守るから」
右手の薬指にある指輪に触れて、ゆっくりと抱きしめる。
ビクッと強張るから小さく笑って。
サラサラの髪に触れる。
「…こんな、かわいくない女なのに?」
「あ?お前、わかってないな。かわいくないわけないだろ」
そんなことを言うから離れて、両頬を引っ張る。
ストーカーじみたヤツがいることから察してほしい。
人並み以上にかわいい自分のことを。
「俺にとってお前は…」
言いかけて自分の口を押さえた。
無意識に口から出そうになった言葉を物理的に止めて、でも三木は気づいていないよう。
眉を寄せていぶかしげに見てくるから。
「とにかく、おとなしく俺に守られてろ」
全て解決したら、俺から…解放するから、それまで…
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