ring.5

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「心配ないわ、大丈夫」 『先輩、今は家ですか?』 「…もちろん、家よ?」 昨日連絡すると言っていた千雪ちゃんは、言葉通り電話をかけてきた。 朝の八時に。 休みだからアラームもかけてなくて、気持ちよく寝ていたところだったんだけど。 起こされてボーッとしていたけど、起き上がり目を擦って思考が停止した。 動き出しかけたばかりだったのに。 『そうですか、ではヤツの家ではないんですね』 「えぇ…そうよ」 なんとか返事はしたけど、自分の真横に誰かいることに体も固まる。 モゾモゾと動いたと思ったら、座ってるあたしの腰に腕を回してきて。 …そうだった、ここ向坂の家だ! え、どうしよう、とりあえずどうやって電話を切ればいい? 『安心しました、ではまた月曜に』 「ありがとう、千雪ちゃん」 回らない頭で考えていると、かなりあっさりと電話が切れた。 それは助かったんだけど、こっちはどうすればいい? なんとなくスマホのカメラ機能を起動して、シャッターチャンス? 彼女以外は見れない彼氏の寝顔。 ムカつくくらいキレイよね、向坂の顔って。 「隠し撮りなら音消さないとダメじゃん」 「え!起きて!」
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