ring.5

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「おはよー」 「あ、はい、おはようございます…」 そんなことを言いながら、なぜ膝枕に? 「何ソレ、他人行儀、会社かよ」 ヤ、ちょっと待って? さっきは腰に腕を回してきて、今度は膝枕? これはあたしはどうすればいいんだろう。 「で、俺の寝顔撮ってどうするつもり?」 「え?拡散?」 「アホか」 下から伸びてきた手が、あたしのほっぺをつねる。 クセ、なのかな。 痛くはないんだけど、どう反応を返せば正解なのか。 「消せばいい?」 「そこは待ち受けにするって言うもんじゃないのか?」 「えぇ?そこまで興味ないのに、今のをわざわざ変えるなんてあり得ない」 ホンキでそう言えば、あれ?ちょっとしょげた? うん、でも、消すのはやめようかな、観賞用として置いておくくらいならいいかも。 「興味ないのになんで写真なんか…」 軽くなったと思ったら、起き上がった向坂が目の前。 「だって、キレイだったから?」 スマホで口元を隠し、少し上目遣いになりながら言えば呆れた表情。 「…俺のこと、年上だと思ってないだろ」 「あぁ…そう言えば四つ上だったね?」 同期だけど、向坂は大卒であたしは高卒。 だけど、ホラ、入社が一緒だったから、みんな同い年みたいな感じで。 「ムリよ?あなた童顔なんだから今さら年上ぶっても」 「お前…それ聞いて俺が傷つかないとでも?」 「そうなの?ごめん?」
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