ring.6

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俺を嫌悪の目で見ながら、それを言うと休憩室から出て行く。 ガタンっとテーブルが音を立ててしまうほど、動揺して立ち上がった。 だから、あんなメッセージを寄越してきたのか。 今日、一緒に帰ってほしいなんて。 そうだよな、なんかなけりゃあんな連絡寄越してこない。 「え、どうすればいい?経理まで迎え行く?」 知らず知らずのうちに口に出ていたらしく、休憩室に入ってきた真殿先輩が一歩引いた。 「どんだけスキなんだよ」 「見せたくないくらいには」 「真顔で言うことか」 入ってきた先輩はため息をついてドカッと座る。 「お疲れですね」 「あー、俺、なんでアイツの先輩なんだろうな」 「倉松先輩のことですか」 先輩の話に相槌を打つけど、正直今は話を聞いてる場合じゃない。 どうしても会ってしまうだろうから、いかに早く退社させるかとかそんなことを考えなければ。 やっぱり迎えに行く? 「向坂、聞いてないな」 「ハイ、聞いてません」 「正直すぎるのもどうかと思う。なんで後輩どもはこんなにキッパリと言うかな」 「他は知らないですけど、いち…三木のことしか考えてないっすから」 めっちゃ笑顔で言えば、深いため息を一つ。
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