ring.6

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「そういや、その三木がお前のこと捜してたっぽいけど?」 「なんでソレを先に言わないんですか!」 再びガタッと音を立てて休憩室を飛び出した。 経理部の方に走りながら電話をかける。 『はい?』 「どこ?」 『屋上に向かってるところ?』 「行くから、待ってて」 返事を聞く前に電話を切って屋上へと向かう。 きっと、不安になってるだろう一楓を早く、抱きしめたい。 「一楓!」 「ぅわっ、はい」 扉を勢いよく開ければ、すぐそこにいたために驚いて目を見開いた。 「雨だぞ、なんで休憩室に来ないんだよ」 まだ帰ってきてないのに、どうしてかその姿を見て安堵してしまい抱きしめた。 「…行こうと思ったんだけど…」 抱きしめ返されてめちゃくちゃ驚く。 けれど、離さない。 変わってやりたいけど、変わることはできないから。 「ちょっと、外の空気吸いたくて…」 「さすがにちょっと寒くね?」 この密着状態がいつまで続くのかわからないけど、気持ちが落ち着くまで背中を撫でる。 なんだろう、今笑った? 「そうだね、ちょっと肌寒くなってきたかも」 俺の胸をトンっと押し離れた一楓は、やっぱり笑顔も何もない無表情だけど。 「少しは安心できた?」
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