ring.1

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今さら休憩室に戻ってご飯を食べる時間はなくて、仕方なく階段でってなるけど。 これって向坂が来なければ休憩室で食べれたんじゃない? 「あなたは食べないの?」 「俺はコレの確認に来ただけ」 いただきますと手を合わせ、なのに右手を掴まれる。 そこには今の自分には全く必要のないモノがあって。 「外さなかったのは偉いな」 「…だって、不本意ながらも彼氏からの贈り物ですから?」 散々ヒトを脅してきといて、確認なんて必要ないと思う。 できることなら今すぐ外したいよ。 そもそも、スキでもない相手が彼氏になるってあり得ない。 「何?」 なんで、そんな愛しそうに見つめてるの? やっぱりコレは、自分がしていいモノじゃないでしょ。 そして手を放してくれないからご飯が食べられない。 「時間なくなるから食べたいんだけど」 「外すなよ?あとで連絡する」 「え、別にしなくていい」 「するから、あと先に帰るなよ」 それだけ言うと、お弁当の中のハンバーグをヒョイっと取って下りて行った。 ハンバーグ…取られた! お弁当の中でメインのおかずなのに! 一個しかないハンバーグを、イタズラな顔をして横からかっ浚っていかれた。 「諦めるしか、ないなぁ…」
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