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今さら休憩室に戻ってご飯を食べる時間はなくて、仕方なく階段でってなるけど。
これって向坂が来なければ休憩室で食べれたんじゃない?
「あなたは食べないの?」
「俺はコレの確認に来ただけ」
いただきますと手を合わせ、なのに右手を掴まれる。
そこには今の自分には全く必要のないモノがあって。
「外さなかったのは偉いな」
「…だって、不本意ながらも彼氏からの贈り物ですから?」
散々ヒトを脅してきといて、確認なんて必要ないと思う。
できることなら今すぐ外したいよ。
そもそも、スキでもない相手が彼氏になるってあり得ない。
「何?」
なんで、そんな愛しそうに見つめてるの?
やっぱりコレは、自分がしていいモノじゃないでしょ。
そして手を放してくれないからご飯が食べられない。
「時間なくなるから食べたいんだけど」
「外すなよ?あとで連絡する」
「え、別にしなくていい」
「するから、あと先に帰るなよ」
それだけ言うと、お弁当の中のハンバーグをヒョイっと取って下りて行った。
ハンバーグ…取られた!
お弁当の中でメインのおかずなのに!
一個しかないハンバーグを、イタズラな顔をして横からかっ浚っていかれた。
「諦めるしか、ないなぁ…」
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