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「じゃあ、どうしましょう?いつもの席にいるんですけど、彼氏さん」
……え?
なんで…?
「別の席でも大丈夫です、見えないところがいいです」
「でも、もうバレてますよ?」
千雪ちゃんと彼女さんの会話は耳に入って来ない。
確かにさっきは呼び出してやろうかとか思ったりもしてたけど。
いざ実際、本人がそこにいるとわかると及び腰になるっていうか…
「いいんです、近くなければ」
「では、あちらのお席にどうぞ」
あ、でもそうか。
この店を教えてくれたのは向坂だもの。
いてもおかしくはない。
「先輩、こっちです」
通された席はいつも座る席が死角で、でもなぜか真殿先輩がいるんですけど。
イヤ、先輩がいるのはわかる。
彼女さんの働いてるお店だし。
「同席お願いします。というか、もう帰って」
え、扱い雑。
つきあってるってこんな感じ?
あたしは向坂と友達以上恋人未満な感じで、言い合うこともなかった。
まぁ、フリだから当たり前だったと思うけど。
「あぁ…じゃあ、向坂のとこ行くわ」
「空きました」
つっこんでいいところなのかな。
キラッキラした笑顔がカワイイです。
飲みかけのコーヒーを持つ先輩に、肩をポンッと叩かれた。
何かを察したっていうような笑みを浮かべて、何も言わずに歩いて行く。
「うざ…」
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