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名前も名字もどっちもイラつかれたら呼べないじゃないか。
どうすればいいんだよ。
「ただ、向坂に名前を呼ばれるのは、なんかスキよ?」
「なんか、ってなんだよ」
カワイイことを言ってくれる。
無意識だからタチが悪いっつーか、魔性だよな。
会社内でこう思ってるのは俺だけじゃないハズ。
小川先輩とか。
「向坂?」
「ん?何?」
「時間あるならストレス発散につきあってほしいんだけど」
立ち止まった場所はカラオケ。
てっきり一楓の家なのかと思ってた。
あー、でも、家に行ったら行ったで、何もしないっていう保障もないし。
「いいよ、つきあう」
密室だけど、家じゃないから大丈夫…だよな。
一楓は行き慣れてるのか、淡々といろいろ済ませて気づけば部屋の中。
あんまり来ないから任せてたけど、一楓さんスゴイですね。
久しぶりに来たら全然わからない。
「なんか歌う?」
「イヤ、あんまウマくないからいいよ」
「そう、じゃあ話をしましょうか」
え?歌わないの?
「防音だから叫んでも平気よね」
どういうこと?
俺、怒られるってこと?
「ねぇ、向坂…」
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