ring.8

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「一楓、先に謝っとく。俺のワガママにつきあわせてゴメン」 何に対して怒っているのかわからないし、謝りたかったこともホントだし、先手…ってわけじゃないけど。 「ワガママ?」 「というか、ムリヤリ?」 「そうね、でも…向坂が何もしてくれなかったらどうなってたか」 特に何もしてないと思う。 誰かのモノになってほしくなかった。 ただ、それだけの想い。 「あたし一人じゃ、何も気づかなかっただろうし、小川さんはホントにストーカーになってたかもしれない」 「確かに一歩手前だったかな」 苦笑いを浮かべる俺を、変わらない表情で見てくる。 どこか真剣な感じにも思えるけど、今は会社にいる時みたいに表情がわからない。 「向坂、ホントのことを言って」 「…ホントのこと?」 「あたしに隠してることあるでしょ」 「そりゃ、あるけどさ…」 隠し事のない人間なんていないだろ。 でも、それを見透かされてる、とか… 一楓って、他人に興味がないとか言いながらよくヒトのこと見てるよな。 「あたしに関係あることなら言って」
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