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「あ、因みにフリだからって手を出さないとは言わないからな」
「…はぁ?」
「え、だって、彼女だし?彼女が側にいて何もしないって、男としてどうかと思うわけよ」
「そこはどうかと思ってよ」
立ち上がろうとした彼女を引き止めるには効果的だったようで、でも逆に詰め寄ってくる。
無表情がさらに読めないほどになって。
ある意味、怖い。
「ニセモノ、でしょ?」
「そんなこと思って接してたらボロが出るだろ」
俺は大丈夫だとしても、三木がどうかわからないから。
「会社であたしがなんて呼ばれてるか知らないわけじゃないでしょ」
「鋼鉄?」
「は?サイボーグだけど」
意味は違うけど似たようなもんじゃない?
「三木は別に乏しいだけで完全にないわけじゃないだろ」
「そんなの知らない。自分で自分の表情が見えるわけじゃないもの。って、そうじゃなくて、ニセモノなのになんでホンキで彼氏になろうとするの」
話題変えたの三木なのに、俺が逸らしたみたいな言い方だな。
イヤ、いいよ別に、話題戻ったし。
俺だってそこを曖昧にしたままなんて、なんか釈然としないから。
「あんまり近づくとキスするぞ?」
「──っしてから言うな!」
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