ring.1

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というか、自分だってこんなところで立ったままなんてイヤなんだけど。 こんなことしてる間にも、刻一刻と休憩時間はなくなっていってるわけで。 ヤツの…向坂のせいでお昼ご飯が食べられないなんて、自分にとってあってはならないこと。 「…ホント、かわいげないヤツだな」 少し離れながら言われたソレに、小さく胸が痛む。 向坂のことがスキだからとか、そんな甘ったるい理由とかじゃなくて。 小さい頃から言われてきたソレを、同僚の…しかもムカつくヤツにまで言われるなんて思ってない。 「別に…あなたに可愛いなんて思われなくても構わない」 無表情に言い放ったソレに、ヤツはわずかに眉をしかめる。 それと同時になぜか腕を掴まれ引っ張られて、抵抗するのもどうかと思って仕方なくついて行くけれど。 「とりあえず、どこへ?」 「屋上に決まってるだろ」 へー、そうなんだ、決まってるんだ。 あー、でもそうよね? こういう時って、だいたいは屋上か非常階段とかで、なんだっけ?壁ドン? ドンってされるんですよね? 「…ねぇ、雨降ってるの知ってて来たのよね?」 「うるせぇ、忘れてたわ」 「え?忘れるほどの雨量じゃなくない?」 言えば少し睨まれてため息。 ちょっと、失礼じゃない?連れてきといてヒト見てため息って。 …あぁ、さっき自分もしたっけ。
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