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独白1
私は、恋をしていたのです。
それが愛だと思い込んだまま、執拗に恋をしてしまっていたのです。
今朝方、朝食で出されたレーズンパンを一口かじったその時に。
口の中いっぱいに漂う行き場を失った甘さと、必要以上に水分を奪っていくあの断片を、押し込むように、流し込むように水を口に含んだあの瞬間に。
全てが、ただの恋慕だったと知ってしまったのです。
なぜこの日に、レーズンパンを食べねばならぬのでしょう。
なぜこの場で、あの幼い果実の味を確かめなくてはならぬのでしょう。
きっと同房の彼らは、涙ながらにレーズンパンを頬張る私に、同情か憐憫、もしくはもっと感動的な何かを抱きながら、あの馬鹿馬鹿しいサツマイモの味噌汁をすすっていたのだと思います。
私の真意は、他人はおろか、私自身にでさえも常に間違って伝わってしまうのです。
私は、愛していなかったのです。
ただ、恋の最中に狂い、貪り尽くしただけだったのです。
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