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<1・Game start>
真っ暗な部屋の中、煌々と灯るのはノートパソコンの灯のみ。
田代研矢はカタカタと軽やかにキーボードを鳴らしながら、黒い画面に文字を増やし続けていた。
ブラインドタッチができるようになったのは、多分高校生くらいの頃であったかなと思う。人狼ゲームにハマったのとほぼほぼ同時期だ。このテのチャットで行うゲームでは、それこそ文字を打つ速度というものがモノを言うのである。夜時間の間に、人狼仲間と素早く連携を取る必要もあるし、それは共有者であっても同じ。同時に、昼の時間などに皆に己の考えを可能な限り迅速に伝える必要もある。キーボードを打つのが苦手、という理由でダンマリしていては、ゲームそのものが成り立たなくなってしまうからだ。
人間、必要にかられれば何でも覚えられるという典型である。
パソコンの授業より、趣味でやるネットサーフィンの方が数倍役立つこともあるのだ。おかげで今のデータ入力の仕事もなんとかできているし――としみじみ思う。なんといっても今のご時世位、ある程度のパソコンスキルが就活サイトの募集段階で求められることも少なくない。ブラインドタッチ必須、なんてのもけして珍しいことではないからだ。
ミライ:えっと、えっと。占い師の方が霊能よりも基本残すべきって思ってたけど、必ずしもそういうんじゃないわけね?
オコジョ:そういうこと。例えば、今日みたいな12A猫で、占い三人いて霊能二人って状況だとするだろ?すると、霊能の内訳は真狂で、狼は一匹もいないかもしれないが……確実に占いの方なら狼が最低一匹はいるってことになってるわけだ。この村だと、狩猫の他役職騙りは禁止事項に盛り込まれてるわけだしね。
ミライ:ふむふむ。
ちなみに、オコジョ、というのが研矢のハンドルネームである。ミライ、という最近人狼ゲームを始めたというネットユーザーに対して、人狼ゲームの流れやセオリーというやつを解説してやっているところだった。
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