<3・Werewolf>

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――これだけ聞けば、占い師の占いで包囲網を狭めていくだけの詰め将棋に見える。でも、狼だって馬鹿じゃない。占い師がいても、その占い師が本物かどうかなんて村人には分からないわけだからな。当然占い師のフリをして、偽の占い結果を出し、村人達を混乱へと陥れていく。場合によっては、霊能者が騙られることもある。  さらに、狼には強い味方がいる。人間でありながら狼に心酔する人間、それが狂人だ。狂人は狼が誰であるかはわからないながら、占い師や霊能者、狩人などを騙ることによって村人達を翻弄する。狂人は、狼陣営が勝利することで自分自身も勝利するポジションだ。同時に、本人は狼に噛まれてしまうこともあるものの、占われても霊能でも“狼ではなかった”という結果しか出ない。己が人間であることが、最大の武器になるというわけだ。 ――自分が吊られないようにするにはどうしたらいいか?そして、吊られても勝利するにはどうすればいいか?狼は、真占いは、狩人は誰か?……そういった考察力、推理力が求められるってなわけだな。セオリーって呼ばれるものはいくつもあるけど、セオリー通りに行けば必ずしも勝てるってなわけじゃない。ぶっちゃけ、経験値がモノを言うゲームってわけか。  さて、とミライはネットに繋いだ状態で思案する。  とにかく、現時点では情報が足らない。犯人がたまたま人狼ナイトターミナルにいたのか、あるいはこのサーバーそのものを根城としているのかも全く不明だ。もう一度遭遇することができれば、準備してきたウイルスを使って追跡することも可能だが――そのためには、恐らく再び相手をおびき出さなければならないだろう。  つまり。――狙われそうな人物、あるいは村に潜入する、ということである。 ――まだまだミライ君ってば初級者だからなあ。初心者歓迎の村じゃないと怒られちゃいそー。……初心者でも入って良くて、かつオコジョさんみたいなベテランがいそうな村……立ってないかなあ。  平日にしろ休日にしろ、村が多く立てられるのは夜であることが多い。仕事をしている若者、学生達が自由に活動できる時間はやはり夜に限定されるからだ。  ミライはいくつかの村とその村名を見て――一つの村に、アタリをつけた。
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