<5・Deceive>

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<5・Deceive>

 占い師に黒を打たれたプレイヤーが、猫又COをして吊り逃れをしようとするケースはいくつもある。  例えば、本当に人外が本物の猫又に黒打ちしてしまい、真猫が吊られるまいとCOするというパターンもあるだろう。しかし、今回に至って言えば本物の猫又はミライ自身である。今回黒を打たれたユーザー・美智子が真猫であるということはありえないと、ミライだけは知っているわけだが。  つまり、真偽不明な占い師に黒を打たれた美智子は、猫又COした時点でミライ視点人外確定となる。狩人の可能性もゼロではないが、この場合は狩人であることをそのままCOしてしまっても問題はない。もしくは猫狩COをする。いずれにせよ、普通の村ならばここで黒吊りにまったをかけることだろう。  確かに狩人という存在は、露出してしまうと非常にまずいのも事実。何故なら狩人がいなくなれば占い師などの重要な役職を守れる人間がいなくなってしまうからだ。狩人がいなくなっても、“狩人がまだ生きているかもしれない”というだけで十分ハッタリにはなる。狩人が早々にCOするというのは、村としては少々痛手になるのである。  ただし、黒を打たれた場合、必ずそもデメリットばかりではない。黒を打たれた狩人が吊られずに残って、それを狼が噛んだ場合。当たり前だが、黒打ちした占い師が破綻することになるからである。“狼は狼を噛まない、噛まれない”が大前提のルールであるからだ。噛まれた時点でそいつは狼ではなく、そいつを狼と占った占い師も偽物ということになる。 ――つまり、狩人COしても、狼が占い師を破綻させる覚悟でなければ……黒打ちされた狩人はそう簡単に噛めなくなるってこと。ゆえに、黙って吊られるよりは狩人COするか猫狩COする方がいい。猫又COして吊られるのはあまりにも悲惨だ。吊られて道連れがなかった時点で、そいつの中身は人外だと決めつけられるのがオチだからな……。  では、美智子の中身は何で、美智子に黒を打ったもこもこの中身は何になるのか。  美智子が人外であるということは、狼である可能性も十二分にあるということ。でもって狼に黒を打ったということは、もこもこが真占い師で狼を普通に引き当てた可能性もあるということである。  また、狂人が適当に黒を打ったところがご主人様で、そのご主人様が慌てて吊り逃れと猫炙りのために猫又COした可能性もあるし――狼が身内を切り捨てて信用を稼ぐと同時に、厄介な猫又をあぶり出すため切り捨てられた仲間である美智子が猫又COをした可能性もあるわけだが。残念ながら、そのどれであるか、など今のミライにわかるはずもない。自分にわかるのは、美智子が真猫ではない人外である、ということだけなのだから。 ――ただ、いくつか妙なところもある。もこもこは、対抗占い師の覗き魔よりやや占いCOが遅かった。黒を引き当てたにしてはロケットしようとする気概が見えなかった。……占い師は初日必ず出ないといけないというルールはない。特に対抗が黒を持ってきたなら、狩人の護衛対象をブラさないために黒伏せするというのは十分有り得ることではある……だが黒を自分が持ってきた占い師にはそれは当てはまらない。  そして、何よりも奇妙なのが美智子のCOタイミング。身内切りされた狼ならば、この流れは予定調和であるはず。それにしては随分と猫又COが遅かった。それこそ、黒を出した占い師であるもこもこと、黒を打たれて猫又COした美智子の間に連携が取れていないかのように。
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