白いサザンカ

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「また今日も同じ1日が始まるのか〜」 一元討児(ひともと とうじ)は朝の7時に目を覚ました。 特段やることもないのだが、この時間に起きてしまうのだ。 しばらくベッドの上で寝返りをうっているとドアの方から物音がする。 「おっ今日の朝食は何かな!」 机を見ると今日の朝食が置かれている。ご飯に漬物、味噌汁といったオーソドックスなメニューだ。 それを平らげると討児の自由時間が始まる。 彼は二年ほど前にコンビニのアルバイトをやめた以来部屋に引きこもっている。 「なんで引きこもりを始めたんだっけ?」 彼は理由を思い出そうとする。しかし、これといった理由は思い浮かばない。 些細なことが積み重なって今の状況になったということだろうか。 次第に無駄だとわかり考えるのをやめた。 「よし、今日のニュースは、と」 討児はパソコンに向かい、お気に入りの掲示板を見る。これが彼の日課だ。 その他にも日課とは言えないまでも週に2〜3日はベランダに出て短時間の日光浴をするし、たまに夜にはコンビニに行く。しかし、最近はもの忘れがひどくなったのか財布を忘れて何も買えないし、行く途中で必ずと言っていいほど雨が降る。 まだ26歳なんだからボケるのはよしてくれよ、と自分に言い聞かせている。 「よし、一通りは巡回したな」と言いパソコンをスリープ状態にする。 討児が書き込むことは滅多にない。なぜなら彼は主観的に物事を語ることが多く、それを指摘されると自分の欠点を意識させられるからだ。
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