平和な争い

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僕には、二人の幼馴染がいる。二人は双子の兄妹で、いつもくだらないことで言い争いをしている。 本人たち曰く、「絶対に負けられない、ケンカなんて生ぬるい物ではなく”戦争“だ」 そうだ。 僕からしたらすごくくだらないけれども、勝敗は僕任せらしい。彼らの戦争は、面白いから別にいい。 今日はどんなくだらないことで戦争をするのか楽しみだ。   今日の彼らの戦争は、放課後に起きた。 部活もなく早めに帰ることができた僕らは、小腹がすいたということで、帰り道の途中にある、たい焼き屋によることにした。 「中身何にする?」 双子の妹の方が聞いてきた。 それに対して僕は「まだ決めてないよ、二人は?」と聞き返した。 二人は同じタイミングでこう言った。 「俺こし餡」「私粒あん」   少しの沈黙が訪れ、僕は「あ、始まったな」そう思った。 戦いの火ぶたが切って落とされたのだ。 「いやいやいや、あんこなのは、いいけど粒あんとか、マジで言ってんの?」 「そっちこそ、こし餡なんて邪道なものばかじゃないの?」 「今日は、あんこで戦争か」僕はそう思った。どちらも、おいしいから僕は好きだけど、彼らはそうではないらしい。 「粒あんとか、歯に残るし、触感とかいらなくね。あんこは、あの味を楽しむものだろう? この愚妹め」 確かに粒あんの、歯に残る感覚は僕も好きではない。 それに対し彼女はというと 「粒あんは、あの触感がいいんじゃない。あんこは、小豆からできているのよ、小豆そのものを食べている気がするし、甘さと触感で飽きが来ない。こし餡なんて同じ感じが続いて嫌になるは。そんなこともわからないの?バカ兄貴」 こし餡の同じ感じが続いて飽きが来るのはわからなくもない。 「こし餡は、あの舌触りがいいんだろうが。あんこに余計な食感はいらない」 「こし餡なんてそれだけじゃない、その舌触りだって、最初のほうはいいけど後から嫌になってくるわ」 二人の言い分はよくわかるし、どちらの言い分も理にかなっていて甲乙つけがたい。 ここでふと疑問におもった。 「二人はさあ、粒あん、こし餡の食感についてしか言わないんだね。あじについてとかは?」 すると二人は顔を合わせてこう言った。 「あんこ事態に不満はないのよ」「それにそもそも同じあんこだから味は一緒だろう?」 「でもそれなら、別にどっちでもよくない?味が一緒なんだし」僕がそういうと、 「味は一緒でも粒あんと、こし餡はべつものよ。そこは一緒にしないでほしいわ」と妹のほうが言うと、続けて 「おいしいのは認めるし同じあんこだが、だからこその違いが出るものだ。この違いこそが大きいんだ」と兄のほうが言う。 「それよりも早く、何にするのか決めなさいよ。もちろん小豆のすべてが楽しめる粒あんでしょ?」 「いやいや、あの滑らかな舌触りによりあんこの持つ甘さとおいしさが楽しめるこしあんだろ?」 今日の勝敗は、僕の注文にかかっているようだ。 「やっぱり食感よね?」「あの舌触りだよな」 二人して最後のアピールにはいってきた。 「じゃあ僕が、注文するのは……」 「「注文するのは?」」 「クリームかな。ここのおすすめってなってるし、二人はどうする?あんこの話聞きすぎてお腹一杯なのもあるんだけど」 僕がそういうと、二人は顔を合わしておなじタイミングでこう言った 「「クリームで」」   今日のところは勝敗つかずで、彼らの戦争は、幕を閉じた。 明日はどんなくだらない二人の言い争いもとい、戦争が繰り広げられるのか楽しみだ。  
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