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「ほら、ね。まどかさんの体は欲しいって言ってる」
絶対にそんな筈はないと思うのに、昨夜の濃厚な戯れを思い出し、下半身が熱くなる。
昨日だって仕事で疲れていた筈なのに、そんなことなど微塵も感じない程に、何度も私を求めた彼。彼の体力はどこからくるものなのだろう。
彼の体が下に向かい、その突起を口に含まれる。昨夜と違って光が差し込む中、体を見られる羞恥心から、彼の両肩を押さえて阻止しようと試みる。
けれど、彼の舌で丁寧に転がされて、私の体はしなり甘美の声を上げる。その内にズボンと下着を剥ぎ取られ、彼の長い指が私の内腿を撫でるように這って行く。
それすらも快感で、小刻みに震える体は制御することを諦めた。
「まどかさん……まだほとんど触ってないのになんでこんなになってるの?」
「ん……昨日、したから……」
「昨日の残り? 何時間も経ってるのに? ……ふーん」
彼は、クスリと笑って滑らせるようにして私の中に侵入する。
入れてすぐのところを上に押し上げられて、痺れる程の快感が身体中を駆け抜けていった。
「ここ……好きだね。昨日も、ここだけで3回イッた」
「……言わないで」
「すごい、溢れてきたよ」
最初はゆっくりだったのに、中で激しく上下に動き出す。
彼の細くて長くて綺麗な指の形が好きだ。それにとてもよく似合う軽く筋の浮き出たしなやかな手の甲。全てが作り物のように綺麗な手。
その指が私の中をかき混ぜて、容赦なく次々と快感を与えるものだから、すぐに頭の中は真っ白くなって何も考えられなくなる。
もう朝ごはんなんてどうでもいい。そう思った瞬間、あまねくんの指の形がわかるほどにナカがぎゅっと収縮し、数回痙攣した。
「ごめんね、まどかさん。時間ないから1回で我慢して……」
彼の言葉の意味を理解する間もなく、彼の指とは比べ物にならない圧が下半身を圧迫した。深く沈む度に腹部が突き上げられて、自然とその律動と比例して甲高い声を上げた。
「ぁ……っ、ゃ……ぁっ、あっ……」
「まどかさん、濡れすぎ……。そんなに締められたら、我慢できない」
そう言いながらも、私よりも余裕そうな彼は、私の両足を持ち上げて、敏感なところばかりを攻める。
逃れられない快感が押し寄せて、先程と同じ痺れが走る。
全身が何度も跳ね上がり、それを合図にするかのように彼の律動が速まる。
「まっ、今……イッ……ばっか……やっ、まっ……」
「知ってる。俺も、出るから」
数回動いて、彼は素早く圧を抜いて、私の腹部は熱い感覚に包まれた。
乱れた息を整えていると、私の腹部はすぐに拭われて、そのまま、下半身を濡らす私の蜜も拭き取られた。
そんなこともされるがままの私は、ぼーっとしながらまだ残る余韻に体を震わせる。
「ごめん、まどかさん。余裕なくてゴム付けるの忘れちゃった」
「ん……」
「俺は、いつできてもいいけどさ、先に結婚したいね」
「ん……」
「聞いてる?」
「んー……」
思考がついていかなくて、つい空返事をしてしまう私。
「ねぇ、結婚しよ?」
「……プロポーズ? 今?」
スウェットの上を捲らせて、下半身は裸のまま仰向けで呼吸を整えている私と、ティッシュペーパーで白濁の液を拭っている彼。
こんなヘンテコな格好の私に今プロポーズ? ようやくできた返事はそれだった。
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