愛情

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 私も彼も相当体力を消耗したのか、その後は何とか髪を乾かして、ベッドになだれ込むように寝転がり、会話もほとんどないまま眠りについた。  翌日は一旦彼が自宅に帰って着替えをするため、いつもよりも早く起床し、食事を作る。とはいえ、昨日材料をほとんど使ってしまっていたため、昨日の残り物で我慢してもらうしかなさそうだった。  彼も残りは明日食べると言っていたし、それで納得してくれるだろう。  いつものように彼を起こす。また朝の弱い彼と格闘しなきゃなんて思いながら彼に声をかければ、すんなりと目を開けて「おはよう、まどかさん」と言った彼。  驚いて目を見開けば「昨日いっぱいシたからかな? すっごい寝た気がする。目覚めスッキリ」なんて言いながら満面の笑みを見せる。 「元気そうだね……。私はあちこち痛いよ」 「まどかさん、いつも筋肉痛じゃない?」 「……あまねくんが頑張るからだよ」 「まどかさんも受け入れてくれたじゃん」 「受け入れるけど……あんなにいっぱいされたら体もたないよ」  清々しい表情の彼とは対照的に、私は節々も筋肉も痛くてしょうがない。  きっと浴槽の中で色んな体位で彼に突き上げられたせいだ。彼のことは好きだけれど、もう少し体力の差を考えてもらえると嬉しい。 「えー……。俺、まどかさんといっぱいしたい」 「うん。また、夜ね」 「今は?」 「今はダメ。今日は早く家出なきゃでしょ」 「そうだった……。今日グラタンでしょ?」 「そうだよ。作って待ってるね」 「うん。多分18時半頃には帰ってこれる」 「わかった。じゃあ、朝御飯食べよう」  彼をダイニングへ促して、食事をする。彼は、残り物を文句も言わずに平らげ、着替えをする。  うちには経済新聞がないため、自宅に帰宅してから準備をすることになるだろう。彼を見送って、1人になるとようやく息をついた。  結局昨日は仲直りのセックスばかりして、まともに話もしなかったななんて思う。けれど、彼がいつものように笑ってくれたことには安堵する。  彼の妹さんのことは、改めてちゃんと話そう。普段はどんな子なのか彼女について知ることができれば、もう少し対策を考えられるかもしれない。それに、何を言われたって、あまねくんを好きな気持ちは変わらないのだから、私も胸を張って負けないようにしなければと密かに意気込むのだった。  休みは、家の掃除や洗濯をして、夕飯の買い物に出掛けて終わってしまった。  1日なんてあっという間で、夕方には食事を作り始める。  グラタンは、オーブンに入れるばかりにしておき、彼の帰りを待った。  時間通りに帰って来た彼に、夕食を振る舞い、彼が嬉しそうに頬張る姿を見ながら幸せを噛みしめた。 「妹さんは、もう東京に帰っちゃったの?」  夕食後、私から例の話題を振ってみた。 「うん。まだ雑誌の撮影とかあるみたいで1日だけ泊まって翌日には帰っていったよ」 「そっか……。人気者だから忙しいんだね」 「うん。仕事がもらえない時期も長かったから、今頑張りたいんだと思う」  妹さんは上京し、事務所に入るオーディションにはすんなり合格したものの、雑誌に起用されるようになるまでには時間がかかったようだった。  また、あの頑固な性格から、母親が世界で活躍していたモデルであることも隠して活動していたとのことだった。
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