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唇が重なったまま後ろを振り返り、彼の首に両腕を回す。
ぐっと近くなった距離で、更に深く口付けを交わす。彼が求めるよりも先に舌を捩じ込めば、彼は噛みつくようにそれに応えた。
何度か激しいキスを交わし、唇が離れると、じんじんと甘い痺れが余韻として残る。
「まどかさん……今日、変だね……」
「変だね……。今日はね、いつもよりももっとあまねくんが欲しいの……」
「……欲しいの?」
「うん……。どうしたら全部手に入るかなって考えてた」
「なに、それ……。かわい……あー、ヤバい。ちょっとのぼせそう……」
彼は両手で自分の顔を覆ってしまう。
その綺麗な顔が隠されて、ほんの少し残念な気分になる。
辛い時に傍にいてくれたあまねくんには感謝ばかりで、私も彼のために何かしてあげたかった。彼がしてもらって嬉しいことってなんだろう。
いつも私に触れたがる彼のことだから、私からの愛情が伝わったら、もっと喜んでくれるかな。
彼から少し体を離して、お湯の中に右手を伸ばす。彼の下半身で反応しているソレをそっと握ってみた。
「ちょっ、まどかさん!?」
「今日はね……私がいっぱいしてあげたい」
「何言って……」
「いっつもあまねくんには守ってもらってばかりで、色んなことしてもらってばかりで、私……何もしてあげられてないから」
「そんなことないよ……? 一緒にいられたらそれでいいしって……ちょっ」
握った手を上下に動かす。あまねくんは、いつも私の気持ちいいところを探し出して、たくさんの愛情をくれるけれど、私はいつもしてもらうばかりで、彼には何もしてあげたことがない。
更に硬く膨張し始めたから、少しは気持ちいいといいんだけど……。
「まどかさんっ……そんなことしなくていいから」
「ダメだよ。いつも、私ばっかりだから……」
少し速めに擦れば、彼は逃げるようにして浴槽から上がってしまう。
縁に腰掛けた彼は、「いいって……まどかさんにそんなことさせられない」と顔を真っ赤にさせている。
可愛い……。胸の中がキュンキュンして、痛くなって、もっと彼が喜んでくれればいいと思った。
地上に出てしまった循環のよくなったソレを再び握って、先を口に含んだ。
「まどかさん! ダメだって……困る……」
彼だって散々私の下半身を舐め回したくせに。
ぐっと奥の方まで咥えてみるが、大きすぎて奥までは入らなかった。
雅臣は、私の頭を掴んで何度も喉の奥まで突っ込むものだから、気持ち悪くなって、この行為が大嫌いだったけれど、あまねくんには喜んでほしくて、上唇と舌ではさみ込み、顔を動かす。
根本の方は右手で握ったまま上下にスライドさせた。
腹部につくほどそそり立っているものだから、こちら側にもってくるのも大変で、できるだけ垂直に試みる。
「まどかさっ……ダメだって……ん」
余裕のないあまねくんの声が可愛くて、もっと頑張ってみたくなる。
少し口を離して「あんまり上手じゃないかもだけど……頑張るから……」と言ってから再び咥え込む。
「頑張んなくてっ……いいってっ、ば……はっ、ヤバっ……」
一生懸命口と手を動かして、彼がちゃんと気持ち良くなってくれているのか気になり、視線だけ上げて見る。
濡れた瞳と目が合い、「ちょっ、それ……無理。上目遣いとか、ほんとっ……勘弁して」と慌てた様子で目を逸らされた。
彼の手が上から降ってきて、私の頭に乗せられる。雅臣にされた恐怖が蘇り、怖くなったけれど、彼は「もうっ、いいから……十分だからっ」そう言って、私を止めさせようとする。
だけど、いつも絶頂を迎えるまで私を攻めるあまねくんとはフェアじゃない気がして、もう少し手を速めた。
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