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「まどかさん! ほんとにっ……まとがさんが俺の咥えてるって……っ思うだけで出そうだからっ」
その言葉が聞けて少しだけ嬉しくなる。
いつもは余裕綽々の彼が、私によって翻弄されることなんて、もうないかもしれない。
もう1度確認のために彼を見上げれば、「やっば……エロ……はっ、ちょっ、離してっ! 出……る」口腔内で脈打ったと思った瞬間、勢い良く液が流れ込んできた。
驚いて口を離すと、もう1度どくんと蠢いて、熱い液が顔に飛び散った。
「けほっ……」
ムセた拍子に口から唾液と一緒にぬるっと液が飛び出てしまった。顎を伝って浴槽の中に沈んでいった。
「あ……」
「うわ……ごめ……やばい。俺、さいてー……」
太腿に肘をついて、そのまま顔を手で覆う彼。
項垂れる様子を見て「何で? あまねくんは、最低じゃないよ?」と言えば、「……最低だよ……こんなまどかさん見て、俺欲情してる」と言った。
「え……?」
「こんなことさせたのに、精液にまみれてるまどかさんがエロ過ぎて……興奮してる。マジ最低、死にたい」
「えぇ!? 大袈裟だよ! 勝手にしたのは私だし……気持ち良くなってくれたなら嬉しいし……」
「もう……どんだけ俺のこと夢中にさせたら気が済むの? 俺の方がもたない気がしてきた……」
眉をひそめて険しい顔をして目線をわざと外す彼。
あまねくんがもっと私に夢中になってくれたら嬉しい。彼の言葉が聞けて頑張ってよかったと思えた。
今更口腔内で粘つく液を感じて「ちょっと苦いね」と照れ隠しに笑って言えば「あー、もう……。本当、困る。とりあえずうがいして」と言いながら彼は頭を掻いた。
口を濯いで、顔についた液も全てを流した。
浴槽の中には、先程溢した液が沈んでいる。それを指差して「中、落ちちゃった」と言えば、「いいから。汚いから流すよ」そう言って栓を抜いてしまった。
「まどかさんは、こういうことしなくていいから」
濡れた髪を撫でながら、申し訳ないといった顔で彼は俯く。
「何で? 嫌なの?」
「嫌じゃないよ……まどかさんが好意でしてくれてるの嬉しい。けど、何か酷いことしてる気分になる」
「酷くないよ? あまねくんのこと、好きだから……私がしたいの」
「まどかさん……でも、やっぱり俺は、気持ちよくなってるまどかさん見てる方が好きだし……」
言いながら、私の脇腹を撫でる。
「ひゃっ……」
「お返し……させてね」
あんなに可愛かったあまねくんは、既に雄の表情をしていて、今から起こりうる展開を想像して、硬直する。
1回出したのだから、もう終わりだと思っていたのに。
彼に愛されたい気持ちはいつも以上だけれど、気持ちと体がついていかないような気がして息を飲む。
風邪をひくと困るからと先に髪を乾かさせてくれたけれど、その後は引きずるようにしてベッドへ連れ込まれ、いつも以上の愛情をいただくことになった。
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