初めての気持ち

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入社して3か月ほどが経ち、仕事にも少し慣れて仲の良い同期や先輩たちと飲みに行く余裕も出てきた頃、営業部の先輩たちに『仕事のあと飲みに行こう』と誘われた。 先輩たちは男女合わせて8人ほどで、葉月も参加していたけど、佐野は定時までに終わらなかった仕事があるから残業すると言って断った。 飲み会が始まってしばらく経った頃、酔いの回った女の先輩が、『仕事が遅い』とか『空気が読めない』とか『可愛げがない』などと、佐野の文句を言い始めた。 どうやら潤くんは女性社員からかなりモテるようで、潤くんと同期入社のその先輩は新人の佐野が潤くんの事務処理を担当をしていることが気に食わないらしく、他の女の先輩たちまで便乗して、佐野が潤くんに構ってもらうためにわざとドジなふりをしているんじゃないかと言い出す始末だった。 俺も男の先輩たちも女の醜い嫉妬心を目の当たりにして怯んでしまい、触らぬ神に祟りなしと言うし、面倒な女のしがらみに首を突っ込むのはやめておこうと、酒を飲みながら黙って聞き流していた。 そのとき、ずっと黙って酒を飲んでいた葉月が、豪快に空けたジョッキをテーブルの上にガツンと置いた。 その音に驚いた先輩たちが一瞬黙ると、葉月は口元に笑みを浮かべながら、すごい目力でこう言った。 「先輩、その話にオチはありますか?」
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