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「なんで?葉月の裸なら何度も見てるけど」
「それでもあかんねん!恥ずかしいもんは恥ずかしいの!」
「ふーん……やっぱ今日もダメか。じゃあ風呂から上がったらもっと恥ずかしいことしてやるから、覚悟してろよ?」
そう言ってファスナーを下ろし首筋にキスすると、葉月は真っ赤な顔をして俺を部屋から押し出した。
「志岐のアホ!スケベ!そんなん言わんでええわ!はよ風呂入れ!」
「はいはい、気が向いたら葉月も入ってきていいよ」
付き合い始めてから何年経っても恥じらう葉月は本当にかわいいなと思いながら浴室に向かった。
風呂に入って湯舟に浸かりながらぼんやりしていると、葉月と出会った頃のことや付き合い始めた頃のことを思い出した。
そして結婚式という人生に一度の晴れ舞台を無事に終えた安堵からか、葉月と出会う前のことや子どもの頃の記憶までが頭の中を駆け巡った。
おそらく俺の幼少期は、誰の目から見ても普通ではないと思うし、あまり幸せだったとは言えないだろう。
だからと言うわけでもないけれど、子どもの頃のことなど滅多に思い出すことはなかったのに、今日はやけに鮮明に記憶が蘇る。
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